「AIで何か考えてよ」という無間地獄 —— RFPすら書けなくなった情シスの劣化を嘆く

エンジニア人生で今、最も「提案」の価値が軽んじられている

Posted by めろん on 2025/11/20 09:52

「具体性」こそが優良顧客の証である理由

最近、PoC(概念実証)案件で呼ばれて訪問するたびに、強い既視感と疲弊を覚える。
開口一番に言われるのは、「何かいい提案をしてほしい」という言葉だ。

だが、そこには具体的なビジョンも、解決すべき課題の定義も存在しない。
「具体的に何をするか」が決まっている案件など、今や皆無に等しいのが現状だ。

「具体性」こそが優良顧客の証である理由
本来、ビジネスにおける課題が明確なお客さんは、こちらが動く前段階で内容を深く理解されていることが多い。当然、理解が深ければRFP(提案依頼書)も自分たちで書ける。こうしたお客さんは、我々の提案や見積もりにかかる「コスト」と「価値」を正しく認識している「優良な顧客」だ。

本当の意味で困るのは、「丸投げ」で「何か考えてよ」と称して呼び出してくる客である。

課題なき提案に返ってくるのは、建設的な対案ではなく「文句」だけ
彼らは、自社の課題感すら言語化してくれない。
仕方なくこちらが知恵を絞り、複数のシナリオを想定して提案を持っていく。しかし、返ってくるのは重箱の隅をつつくような文句ばかりだ。

「では、具体的にどういったものをお考えですか?」

そう問い直しても、返答はのらりくらりとした、ぼやけた内容に終始する。
おそらく、上層部から「AIを使って何かやれ」と号令がかかり、ノープランのまま我々に丸投げしているのだろう。こちらは遊びでやっているわけではない。提案書一つ、見積書一枚作るのにも相応の工数(コスト)が発生しているのだ。

対案も出さず、ただ愚痴のように文句を並べ立てて時間を浪費させる相手は、もはや「顧客」と呼ぶに値しない。適当にあしらって離れるしかないのが実情だ。

日本の情シスは、いつから「無能」を免罪符にするようになったのか
振り返れば、90年代後半から2000年代前半の時代は違った。
当時の情シスには、システムに精通し、自ら血の通ったRFPを書ける人間が確かに存在していた。

しかし最近はどうだろう。
偉そうに「俺たちは詳しくないんでぇ〜」と、開き直って言ってくる担当者が増えすぎた。それは自分の仕事を放棄し、「私は無能です」と自己紹介しているようなものではないか。専門家として、それを恥ずかしいと思わない感性には、正直あきれ果ててしまう。

かつての技術への敬意と、プロ同士の緊張感があった現場はどこへ行ったのか。
今日もまた、中身のない「AI提案依頼」のメールを眺めながら、深い溜息をついている。